揺れるように

ソロ活動の記録とひとりごと

強くない 続き

 

 

 

心がポキッと折れてからというもの、強い色の口紅をつけることが減った。

前の記事でお話しした理由と同じである。

もう強くない、強くいられないという理由で、あれほど好きだった派手な色の口紅をつける機会がめっきり減った。

つけてみても、なんとなくちぐはぐに感じてしまって、今の自分にしっくりこない。

今まで、派手な顔ではない自分が派手な色の口紅をつけることが好きだった。

私の中身はなにも変わらないけれど、口紅の色を派手にするだけで強くなったような気持ちになれたからだ。

気持ちを強く持てると、それだけで世界が変わるといっても過言ではない。

眉尻を上げること、派手な色の口紅をつけることで私は強くなれた。強くなって世界も自分も変えられるような気にもなっていた。

でももう、そんな気力はない。

強くなって世界を変えたりなんてことはできない。

そんな、自分に襲いかかるものなにもかもに立ち向かって勝つなんてことは、もうできない。

 

今までは、どんなに自分が弱くても立ち向かい続けることで自分を変えてきた。

変われると信じて強い自分であり続けた。

私のそんな長所が裏目に出て、大きく転んだ。

徒競走で一等賞を取るために精一杯走り続けたような人生だった。

全力を出し続けること、無理をし続けることが「頑張る」ということではないのだと身を以て知った。

私は強くない。

強くあり続けることは、今の私にはできない。

 

もういいじゃん、徒競走、一等賞じゃなくてもいいんだよ。

三位でもビリでも、私の命の輝きは変わらない。

眉尻を上げて描けなくなっても、派手な色の口紅を塗ることができなくても、私は私で、変わることなんてないよ。

 

そういうふうに自分に声をかけた。

そして、走り続けるのをやめた。

 

強くない自分を受け入れることは、耐え難い苦痛だったりもする。

今まで気合でなんとかしてきた部分に「もう頑張らなくていいんだよ」と声をかけてあげる。

今までなら全力を出しきってでもなんとかやりきってきたことを、できなくても平気になること。

周りの声に惑わされないこと。

今までの自分の人生に関わってくれた人に、心の中で「今までどうもありがとう」と伝えて少し離れること。

自分が関われる相手が変わること。

自分が無理をしなくても付き合える人を一から探すことになること。

「昔あんなにできたんだから今でもできるよ」の言葉を否定すること。

「できるよ」と言われてもできないと伝えること。

今までの自分を好いてくれた人が、変わった後の私を好いてくれるとは限らない事実。

 

 

ずっと強くいた私が、もう強くなくなる。

私はそんなに強くないと認めること。

今はその途中で、自分がもう強くないんだと認める苦しみと、頑張り続けることからの解放の間で揺れ続けている。

全く違う人生が始まるようで、この先の想像がつかない。

今までの武器を全て捨てて、手持ちのカードでのやりくりになる。

 

私は、頑張らないということが身についていない。

今から身につけることになるけれど、頑張らなくていいというと楽に生きられるように見えるかもしれないけれど、頑張り続けてきた人間が頑張らないことを選択するのは苦しみの連続だ。

楽になんかなれやしない。

 

もう強くない。

私は強くないのだ。

 

頑張り続けてきた私を卒業する。

その後どこに入学するのか、はたまた入社するのかは、さっぱり分からない。

それでも言えることは、今までのように苦しくても全てを自力でどうにかして這いずってでも前に進むなんてことはやらなくてよくなること。

それは私にとって、今のところは苦しみであるけれど、いつかそれが私の普通になればいい。