揺れるように

ソロ活動の記録とひとりごと

リスク

 

 

 

 

 

楽しいこと、嬉しいこと、気持ちいいことにももちろんリスクはついてくる。

喜び、快を得るためには何かしらのリスクがあるのは当たり前だと思う。

たとえば出産だって、一般的には素晴らしいものとされているけれども、最悪死ぬ可能性もあるわけで。

リスクがないことはこの世にない。責任を持ってリスクを背負えないならその物事に着手するのはどうかと思う。

 

私は子供が産めない。

それに本格的に気付いたのは、ほんの最近のことだった。

遺伝要因についてと、自分が万が一妊娠出産子育てをした時に起こる可能性がある事柄とそのリスクなどについて知るうちに「私には責任を持てる重さではない」と判断した。

私個人の人生も台無しになり、子の人生も台無しになる確率がべらぼうに高く、10代半ばで障害を持ち人生がめちゃくちゃになり、三十路間近になってもまだめちゃくちゃなまま、回復の見込みもない人間が「子を持つ」ということは不可能だ。

あまりにもリスクが高すぎる。みんな揃って不幸になる確率も高すぎる。

これは、愛やお金が十分にあっても回避できない問題だ。

私の病気は遺伝だからだ。

 

だからなんとなく、セックスに対して前向きにならない。

万が一妊娠した時のリスクが大きすぎる。

私は投薬治療を続けているので、妊娠が分かる頃にはお腹の子に薬が渡っており、奇形児のリスクはかなり高くなっている。

それに、この病気は確実に遺伝する。

遺伝についての書籍を読んだところ、8割の確率で遺伝が認められている。

それでも、生まれてきたら幸せなこともあるよ、ということもよく聞くけど、私は生まれてきてこの病気を持って幸せだったことはない。

脳の機能が70%失われた状態で、普通の人でも苦労する子育ては不可能だと思う。

だから万が一妊娠したら、すぐに中絶手術をしなければならない。

それは、相手の男性にとってはお金を出せば解決する問題かもしれないが、私にとっては心にも体にも一生の傷となる。

男性は身軽だ。どこにでも行ける。逃げることができる。

子供ができた時、体を張ってリスクを背負うのは女性だ。

男性は家族を養うために働くからイーブンだとは言うけれど、私は実際に目の前の女性とその子供から逃げた男性も何人か知っているし、愛する男性に逃げられた女性も知っている。

妊娠した際に相手の男性の家族から「あなたは寂しい家庭で育ったから避妊をしなかったのではないか」と濡れ衣を着せられ責められた女性も知っている。

子を捨てた母親は非人道的な扱いを受けるが、子を捨てた男性は批判されない。

「男だから仕方がない」という言葉で片付けられるのを、私は結構身近に見て育ってきた。

私と血の繋がりのある家庭に、そういう出来事があったからだ。

 

それじゃあピルを飲めばいい、と思うかもしれないけれど、私はピルが飲めない。

医者から禁止されている。

だから100%安心してセックスを楽しむことはできない。

どんなに愛されていても、どんなに愛していても、相手が目の前からいなくならない保証はない。

いざとなったとき心はあっけなく変わる。

そして、身軽な人だけが逃げられる。

 

よく「恋人を作ってほしい」と言われることが多いのだけど、正直なところ、現実的なことを考えたらそんなに無理に作らなくてもいいと思う。

私は様々なリスクに対して責任を取れる器もない人間だし、「万が一のことなんか起こらないよ」っていう人はだいたい万が一のことが起こっても責任が取れる人だ。

その後の回復力もある、タフな人だと思う。

私はそこまでタフでもなくて、幼少期からずっとそのことで悩んできているくらいキャパも小さい。

普通の人が普通にこなせるだけのことをやった結果、キャパオーバーで障害を患ったような人間だ。

だから尚更、責任を持ってリスクを背負えないなら迂闊に考えないほうがいいと思う。

 

だいたい、「なんとかなるよ」という人に、私が自分の細々とした事情を話したことはないし、きっと私の上澄みの部分だけすくって「この人は考えすぎなんだ」と笑っているのだろう。

なんとかならない現実が横たわっていて、それをどうにもできずに、最悪の事態を回避するような生き方しかできない自分を呪いたくなることもある。

私だってこんなに重い病気にならなかったら、普通にお母さんになりたいって思えたかもしれないよ。

 

「病気だからって諦めなくていい」という言葉もよく聞くけれど、「病気だから諦める」のではなく、「病気だからその選択肢は選べない」、というのが正しいと思う。

現実は漫画やアニメと違うから、お金や愛が山ほどあってもどうにもならない問題が山積みで、それを乗り越えられる力がないのなら、その選択肢は選べない。

結局のところ、無理なものは無理だし、それはどう足掻いてもひっくり返らない。

そこの部分を愛でなんとかできると思っている人間に、私は問いたい。

愛さえあればなんとかなるなら、その愛で私の不治の病を完治させてくれますか?と。

医学的に「一生治らない」と決まっている病気を、完治させられますか?と問いたい。

私でなくても、その人のパートナーや友人が私と同じ病気になったとき、あなたが愛で治すことができるんですよね?と。

おそらく、無理だという人が多いだろうけど、結局そういうことだ。

愛もカネもあっても、どうにもならない現実は「どうにもならない」ことを突きつけるように、動くことのない丸太みたいに、目の前にただ横たわっている。

 

私はその丸太を避けながら、人よりも遠回りをしながら人生をどうにかやっていくしかない。

愛する人のためなら何度だって中絶手術を受ければいいという人もいるかもしれないけど、私はそうは思わない。

思えない。無駄に真っ向から考える性格のせいで、「ま、しょうがないよね」でお腹の命をなかったことにすることは、今の私には考えられない。

かといって、産み育てることもできない。

「できない、ではなくやるんだよ」という言葉もよく聞くけど、できないものはできないのだ。

 

彼氏を作れなんて、その人の本質的な悩みを知らないなら口に出さないほうがいい。

ましてや子供を産んだらいいなんて、とんでもない。

子供は産めない。彼氏も作らない。

セックスはリスクが高すぎて、私にとっては快楽を伴う大博打で、夜のスポーツではない。

コンドームでの避妊に絶対はない。

 

まあ、多分こういうふうなリスクも考えずに欲に忠実に「好き!抱いて!」と思うところまでが恋愛のワンセットなんだと思う。

しかし私には、ひと時の欲求と引き換えに膨大なリスクがあり、やはりどんな人とどうなっても、夜のスポーツとして楽しめることはないんだろうな…と思う。

ていうか、私と同じ状況の人はどうしてるんだ。。

逆に私と同じ状態のみんなはどうしてる?

もうなんか八方塞がりすぎて困ってるんだけど。

ピルも飲めない産めない育てられないで、めっちゃしんどいんだけど。。

なんか、めちゃくちゃ高性能で避妊率100%絶対とかのコンドームがあるんだったら教えてください。。